ペット栄養管理士さんが教える!【夏バテ対策に愛犬に食べさせてあげたい食材6選】
今年の夏の暑さは、とても厳しいですね。いつもは元気なワンちゃんも、食欲がなくなったり、疲れやすくなったり・・・心配ですよね。
「何か食べさせて元気にしてあげたい」
「でも何をどうやって食べさせてあげればいいかわからない」
そんな飼い主様に、栄養のお話をわかりやすくお伝えしながら、夏にワンちゃんに食べさせてあげたい食材を6つ紹介します。
この時期にぜひ食べさせてあげたい食材を上手に選んであげて、元気に暑さを乗り越えさせてあげましょう。
夏バテとは
食材のお話の前に、夏バテとは何か、夏バテになると、体にどんなことが起きるのか知っておきたいですよね。
まず、暑さによって、脱水になりやすくなります。ワンちゃんは暑いと感じると、肉球から汗を出したし、パンディングといって、舌をハァハァさせて体温調節を行います。このようなことから、いつも以上に多くの飲水量を必要とします。ところがワンちゃんは実は、喉の渇きを感じにくく、必要な水分量をきちんと飲める子は少ないと言われていて、そのことによって、脱水気味になりやすいのです。
ちなみに、ワンちゃんが脱水かどうかの見分け方として、背中の皮膚を少し持ち上げて手をはなし、元の状態に戻るまでの時間を見ます。これは脱水になると皮膚の弾力がなくなり、元の状態に戻るが遅くなってきます。
また、自律神経が乱れることで胃腸の働きが弱まります。このことで食欲不振となったり、食べたご飯をうまくエネルギーに変えにくくなり、元気がなくなってきます。
このように、夏バテで元気がない時、ワンちゃんの体に何が起きているのかを理解して、それに合った対策を取ってあげることが大切です。
脱水になっているワンちゃんに食べさせてあげたい食材
これはもちろん、水!ですが、単にお水を置いておいても飲んでくれない時もありますよね。そんな時は、ご飯のトッピングやオヤツを工夫して、美味しく水分補給をさせてあげましょう。
キュウリ
夏の水分補給の王道と言える野菜。キュウリは97%が水分でできていて、しかもカロリーがキュウリ1本でも14カロリーと、太ることを気にせずあげることのできる食材です。キュウリだけでも食べられるワンちゃんであればオヤツに、キュウリだけでは食べないワンちゃんにはトッピングでご飯の上に細かく切ったキュウリを乗せてあげてください。爽やかな味で食欲増進の効果の期待できます。
ポイント
少しでも消化を良くしてあげるため、キュウリをあげる時は、できれば皮は剥いてあげてくださいね。
トマト
トマトも90%が水分でできている上に甘さもあるので、好きなワンちゃんも多いかと思います。トマトに含まれているリコピンの持つ抗酸化作用も夏の体には必要な作用です。
ポイント
トマトの皮もできれば除いてあげてください。また、ミニトマトは1個3カロリー、中玉トマトは1個30カロリー程度ありますので、ご飯が食べられないほどあげないように注意してくださいね。
スイカ
スイカも90%が水分でできていますし、夏の果物らしく、この時期に必要なミネラルも多く含まれています。この時期しか楽しむことのできない果物ですので、ぜひワンちゃんにも食べさせてあげてください。
ポイント
スーパーで売られている小さくカットされているスイカだと食べないワンちゃんが多いようです。丸ごと1個のスイカはご家庭では大き過ぎると思いますが、半分や4分の1くらいになっているスイカを買って、ご自宅でワンちゃん用に切ってあげてみてくださいね。
食欲不振になっているワンちゃんに食べさせてあげたい食材
食欲不振になっているワンちゃんはエネルギーが不足して元気がなくなってしまうことがあります。そんなワンちゃんには、食べたご飯からエネルギーを効率よく作り出してくれる食材がおすすめです。
豚肉
夏の体に1番おすすめなお肉は豚肉です。豚肉は、エネルギー源となるたんぱく質、脂質も含まれていますが、実はビタミンBが豊富という特徴があります。ビタミンBは、たんぱく質や脂質がエネルギーになるのを助ける役割があり、このビタミンBをうまく取り入れることが元気回復に繋がっていきます。
ポイント
豚肉には、かなり多くの脂質が含まれているので、何日も連続で食べさせてしまうと肥満の原因となります。また、あげる時は脂身の少ない部位を選んであげる、脂身をなるべくカットしてあげる、茹でて脂分を減らしてあげるなど、工夫をしてあげてくださいね。
モロヘイヤ
モロヘイヤは夏野菜の中でも特に栄養価の高い野菜で、もちろんビタミンBが豊富に含まれています。他にもモロヘイヤのネバネバ成分であるムチンは胃の粘膜を保護してくれる働きもあります。
ポイント
モロヘイヤは必ず加熱してあげてください。ビタミンBは水溶性ビタミンのため、茹でると煮汁に溶け出してしまいます。この栄養たっぷりの煮汁は捨てずに、ご飯にかけるなどしてあげてくださいね。茹でたモロヘイヤは、そのままだと喉に詰まることもあるので、必ず細かく刻んであげてください。
バナナ
甘さがワンちゃんに人気なバナナ。バナナには、ビタミンBの他に、たんぱく質や糖質などエネルギー源になる栄養素、他にもたくさんのミネラルが含まれていて、バナナを食べるだけでもたくさんの栄養を摂ることができます。
ポイント
バナナは1本で約90カロリーあります。小型のワンちゃんにあげる時は、1cm程度の輪切りを限度として、少しずつあげてくださいね。
まとめ
食べ物には、いろいろな栄養が含まれています。夏バテが起きる原因と、その時に必要な栄養がわかると、ワンちゃんの体調にあった食材を選んであげることができます。食材を上手に選んで、ワンちゃんの体に合ったあげ方をしてあげて、ぜひ元気を保ってあげてくださいね。
プロフィール:
新倉みさ(ペット栄養管理士 / 愛玩動物飼養管理士)
現在、3代目の保護犬と生活中。保護当時から腎不全だった先代犬の看病の経験から犬の栄養学を学び始める。そして、ほんの少し知っていればできることが沢山あることを知り、そのことを多くの人に伝えるために「愛犬のための栄養教室」を主宰。飼い主自身が愛犬に合ったご飯を選んだり作ったりできるようになることを目標としている。ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペットフーディスト、ペットヘルパー1級、ドッグライフカウンセラー