04. TWIGGY.オーナーヘアスタイリスト 松浦美穂
美容師を志したきっかけを教えてください。
松浦:キーパーソンは美容室を経営していた母ですね。町の小さな美容室の三女として育ったのですが、八百屋のおばちゃんが来て、カットして、帰るときにはキレイになってとても嬉しそうにしている。そこに人が寄ってきて、「素敵ね」とか「いいわね、今回の髪型」とか、そういった会話が好きでしたね。たったひとりの人がキレイになるだけで、周りの人も喜んでいる、みんながキラキラしているという景色がとても気持ちよかったのです。そういった子供の頃からの感覚と、自我が目覚めてきた18、19歳ぐらいに60年代のスウィンギング・ロンドンというカルチャーをベースにした映画を見て、日常の美と自分が求める美しさの違いを表現してみたいと思い、美容師を志しました。
ロンドンへ留学をする経緯を教えてください。
松浦:時は80年代で、そのころは仕事後、遊び呆けていました。朝までお酒を飲んで踊って、寝ないで当時働いていた美容院に行ってシャンプーをしてみたいな苦笑。毎日は楽しいしワクワクはしているけれど、全然理想の自分になれていないというジレンマを感じていた20代の半ばでしたね。そんなとき、撮影の仕事で初めてロンドンへ行く機会がありました。グレーの曇り空に、煉瓦造りの街並み、2階建バスや郵便ポストの赤がパッパッとある感じが、私にとって実家のイメージというか、田舎の町の風景のような感じが、なぜかホッとして。福岡から上京して、東京で生活をしていましたが、初めて行ったロンドンに変なふるさと感を抱いたのです。その瞬間に「ここに住む」と直感し、ロンドンへ行こうと決めました。そこで人生がガラッと変わりましたね。
ロンドンではどのような2年間を過ごしたのですか?
松浦:ヘアの勉強という前向きな返答をしたいのですが笑、実は子供を産んでロンドンでの生活を楽しんでいました笑。もちろん仕事もしていましたよ。でも、妊娠をきっかけに、ロンドンでできた親友のナディアがハーブティーやハーブのオイル、フラワーレメディ、ホメオパシーなど、オーガニックのライフスタイルを教えてくれたのです。最初は「何じゃこりゃ?」という感じでしたが、いろいろ説明を聞いていくうちに、とても面白く、深掘りすればするほど楽しくて。これはライフスタイルとして受け入れてしまった方が得なのかもしれないと思ったし、自分が成長している感覚がありましたね。
イギリスから帰国して、TWIGGY.をオープンする経緯を教えてください。
松浦:最終的にビザが切れて、泣く泣く帰国したので、未練タラタラでした笑。とはいえ、ロンドンで経験してきたことを発揮したいと思っていたので、家からも近く、保育園のそばだったこともあり、港区三田のとても狭いマンションの一室にTWIGGY.をオープンしました。ひとりでお店をやっていたけれど、やっぱり撮影の仕事もしたい、ショーのバックステージもやりたい、もっと表現したいと、楽しいことを想像して、それを実現するために少しずつスタッフを増やしていき、気づいたときには40名以上もスタッフがいました笑。ひとりでやっていたときよりもはるかに楽しいし、ひとりでサロンをやることは自分の夢に全く繋がらないことでしたね。
2011年、人間本来の自然治癒力に着目したヘアケアブランド
YUMEDREAMING(ユメドリーミン)を立ち上げましたが、
その背景を教えてください。
松浦:2003年から5年間、アメリカのオーガニックブランドAVEDAのアーティスティック・ディレクターを引き受けさせていただいたのがきっかけですね。ヘアスタイルの提案だけではなく、製品開発にも関わることができ、その経験のおかげで、自分も製品を作りたいと思うようになりました。当時、オーガニック製品はありましたが、髪の毛や頭皮、血液や細胞のことまで考え尽くしたヘアケアブランドはなかったので、これは作るしかないと。日本人の毛質はキレイでつややかで、薄い陶器みたいに独特なので、国産で無農薬の植物由来にこだわったり、サイエンスを学んだり、日本人の髪に合うもの、血に合うものを、皮膚科の先生や研究者の方にも協力いただきながら、年月をかけて開発に取り組みましたね。
松浦さんにとって、TWIGGY.とはどういった場所ですか?
松浦:楽しいことがこのお店の中で行われていたらそれでいいし、その形態がどんどん変わってもいいと思っています。今では、スタッフそれぞれが個性を発揮して全員でやっているお店という感じですね。自分自身が満足する、スタッフも満足する、お客さまも満足するという、満足感の結晶体がTWIGGY.だと思っています。
美容師の魅力や醍醐味を教えてください。
松浦:髪を切ることは、自分の中で天職だと思っていて、今でも楽しくてしょうがないのですよ。カットを通して自分を表現することで、人と喜びを分かち合えて、信頼関係が深まるところが醍醐味ですかね。髪を切るという行為から人間関係が生まれることが喜びです。
普段、何時間ぐらい寝ていますか?
就寝前、起床後にしているルーティンもあれば教えてください。
松浦:最低でも7時間は寝るように心がけています。眠る前に1〜5分ぐらいプチ瞑想をするのが習慣で、夕食後は長年、体が温まるジンシャーやスパイスが入ったものを飲んでいますね。冬は決まってサマハンティー。少し喉がカッとするのですが、その後いい睡魔に襲われ、そのまま緩く眠りたくなるのですよ。朝起きたときも最初に常温かぬるめの白湯を1杯飲んで、15分ぐらい置いてから、青汁を飲んで酵素を摂っています。その後、30分ぐらい胃を開けてから朝食を食べるようにしています。
guguマットレスを使っていただいていますが、寝心地はいかがですか?
松浦:とてもよく眠れています。guguマットレスに替えたタイミングで、偶然、友人が誕生日プレゼントに、厚手と薄めの羽毛が入った2重構造の枕をくれたのです。枕に頭を乗せると、グウッと沈み込んで頭と体がフラットな状態になって、マットレスに包み込まれているような感覚になるのです。マットレスとその枕の相性が良くて、すごく寝心地がいいですね。
休日はどのように過ごして、リフレッシュしていますか?
松浦:犬を飼っているので、基本的に休日の締めは散歩ですね。公園が豊かというか、公園と住宅の関係性がとてもよい立地なので、犬を飼い始めて散歩するようになってから、近所の風景がどんどん好きになっていきますね。
睡眠の重要性をどのように捉えていますか?
松浦:食べること、運動することと同じくらい大切だと考えています。仕事は別として、1日の中で睡眠に一番時間を使うわけですよ。なので、いつもよい眠りを誘うための行動をしたいし、自分が満足できることを1日ひとつでも成し遂げられると、きっといい眠りに繋がるのだと思います。
Text & Edit:Kazuhiro Hasegawa(gugu sleep)Interview photos:Kazuhiko Tawara(magNese inc.)
睡眠とは
TWIGGY.オーナーヘアスタイリスト。美容師、ヘア&メイクアップアーティストを経て、1988年に渡英。帰国後にヘアサロンTWIGGY.をオープン。サロンワークをはじめ、雑誌や広告、ショーなど、幅広いジャンルで活躍。自然治癒力に着目したヘアケアプロダクト「ユメドリーミン エピキュリアン」「TWI」を展開している。