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記事: ペット栄養管理士さんが教える!【無添加のドライフードがいいって本当?酸化防止剤について詳しく解説!】

無添加ドライフードを食べている犬

ペット栄養管理士さんが教える!【無添加のドライフードがいいって本当?酸化防止剤について詳しく解説!】

今回は、「無添加のドライフード」についてお話したいと思います。
その前にドライフードを愛犬に食べさせる時、皆さんはどのようにあげていますか?パッケージを開封して、その日のうちに1袋全て食べさせていますか?
おそらく多くの方は、愛犬の適量をあげながら、何日もかけて1袋分のフードを食べさせていると思います。
でも、よく考えてみると、毎日毎日、愛犬のご飯の時間のたびに封を開けるフード。それなのに、何日経っても愛犬が喜んで食べるのって不思議ではないですか?
例えば、私たちのお菓子として売られている袋詰めのビスケット。そのビスケットを何日間も掛けて毎日開けて少しずつ食べた場合、そのビスケットは少しずつ質感が変わっていきますよね。
でも、ドライフードの多くは、何日経っても質感が変わりません。それは、何故でしょうか?
実はドライフードというのは、あらかじめ、開封して何日間か掛けて食べさせることを前提として作られています。そのために、開封して日数が経っても質感などの変化が起きにくいように工夫がされています。その工夫というのが・・・

「酸化防止剤」

です。
酸化防止剤とは「添加物」の一種です。
添加物というと悪いイメージを持たれる方も多いかと思います。
でも、何より大切なことは「安全に」ご飯を食べさせてあげることです。そして、この「安全」のために、実は酸化防止剤が添加されている方が安全なのです。
では、それは何故なのか、詳しく見ていきましょう。

【愛犬の体を守る酸化防止剤とは?】

酸化防止剤が入ったドッグフード

食べ物は空気に触れると「酸化」という変化が起こります。酸化というは、食べ物に含まれている「油脂」が、「酸素」と「光」に触れることによって起こる変化です。
ドライフードには、お肉やお魚が使われていますので、油脂がゼロの商品はありません。つまり、どんな良品のドライフードでも開封したら必ず酸化します。
そして酸化したフードというものは、「味や栄養価が低下」したり、「下痢」「嘔吐」などに繋がることがあります。また、酸化が進んでいくことで毒性が高まり、肝臓や腎臓など、体に重大なダメージを引き起こすこともあり得ます。
そして、そのような変化は、パッケージを開封して酸素や光に触れることで、どのフードも徐々に進行していきます。
そのような進行のスピードを抑え、何日も掛けて食べさせてもドライフードの安全を守るために必要な添加物が「酸化防止剤」です。
もちろん添加物には、犬の体には不要な添加物もあります。でも、酸化防止剤のように、むしろ、添加した方が犬の健康には良い添加物もあるのです。
反対に、この酸化防止剤すら添加されていない「無添加ドッグフード」の場合、愛犬の健康を考えると、そのあげ方はとても難しいと言えるのです。
(各社の努力や方針によって酸化防止剤を入れていない商品もあります。酸化の問題が心配な方は、メーカーに確認することをお勧めします)

【酸化防止剤の種類】

ドッグフードを食べようとしてる犬

次にお伝えしたいのが、酸化防止剤の種類です。
酸化防止剤は、フードに記載されている「原材料」の欄の1番最後に記載されていることが多く、いろいろなフードの酸化防止剤を見てみると、様々な酸化防止剤があることがわかると思います。
ただ、現在のドッグフードは、「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」により、犬の健康を損なう添加物については厳しく規制されています。
そして、酸化防止剤を大きく分類すると「合成酸化防止剤」と「天然由来の酸化防止剤」2つの種類がありますので、その違いをよく理解して、愛犬の体に合った酸化防止剤が添加されているフードを選んであげてくださいね。

  1. 「合成酸化防止剤」

    化学的に合成された酸化防止剤で、「BHA」「BHT」「エトキシキン」があります。この合成酸化防止剤のメリットは、効果が長期間継続されること、その効果が安定していることが挙げられます。
    ただ、これらの添加物については、発がん性があることから、ペットフード安全法では使用料の「上限値」が厳しく設定されています(使用自体の禁止まではされていません。実は人間の食品でも、油脂やバターなどに使用が許可されています)。
    それでも合成酸化防止剤、特に「BHA」について、強く批判されていることが多いですが、BHAの発がん性について正しくお伝えすると、現時点で発がんが確認されているのは、「前胃」という部位(犬に前胃はありません)のあるラットに対して行った実験で、非常に多くのBHAを長期に渡って与え続けたケースです。犬での試験では、現段階では発がんは見られておりません。
    そのため法律を守って作られているフードであれば、BHAが使われているイコール絶対に悪というものではありませんが、「合成」という言葉に不安を感じる飼い主さんの気持ちもよくわかります。そんな飼い主さんでも安心できる酸化防止剤が次に紹介するものになります。

  2. 「天然由来の酸化防止剤」

    こちらは、その言葉の通り、天然由来の成分から作られた酸化防止剤となり、体への安全性は高いと言われているものになります。
    具体的には、「ミックストコフェロール」「ビタミンE」「ローズマリー抽出物」などがあります。
    こちらの酸化防止剤は天然成分であることから。体への影響という点では合成のものより安心してあげることができると思います。
    ただ、天然由来の酸化防止剤のフードを選んだ場合の注意点があります。それをしっかり理解して、フードを保存してあげる必要があります。

【天然由来の酸化防止剤の注意点】

天然由来の酸化防止剤が入った食品

天然由来の酸化防止剤は、合成酸化防止剤に比べると安全性は高いと言われていますが、大切な注意点があります。
それは、酸化防止効果が継続する期間が合成添加物と比べると短くなるということです。
そのため、せっかく愛犬の体を思って天然由来の酸化防止剤が使われているフードを選んでも、開封してから時間が経ちすぎてしまうと酸化が進行してしまい、そのことによって結果的に愛犬に健康が守られなくなる可能性があります。また、嗅覚の優れた犬の場合、酸化による匂いの変化によってフードを食べなくなることもあります。
天然由来の酸化防止剤の使用されているフードを選んだ場合、開封後してから「1か月以内」のものをあげるようにしてあげてください。

【まとめ】

ドッグフードを待っているワンちゃん等

愛犬の体のことを考えて選ぶフード。でも、酸化防止剤も入っていない「完全な無添加ドッグフード」が本当に良いフードなのかは、判断が難しいところです。
もちろん、添加物は少ない方が安心ですよね。でも、その場合、開封後の酸化のリスクを十分に理解して、保存方法などをしっかり考える必要があります。
添加物についてしっかり理解して、大切な愛犬の体を守ってあげられるようにしたいですね。


プロフィール:
新倉みさ(ペット栄養管理士 / 愛玩動物飼養管理士)

現在、3代目の保護犬と生活中。保護当時から腎不全だった先代犬の看病の経験から犬の栄養学を学び始める。そして、ほんの少し知っていればできることが沢山あることを知り、そのことを多くの人に伝えるために「愛犬のための栄養教室」を主宰。飼い主自身が愛犬に合ったご飯を選んだり作ったりできるようになることを目標としている。ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペットフーディスト、ペットヘルパー1級、ドッグライフカウンセラー、ペットフード安全管理者

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