最新データに基づく運動と睡眠の関係

最新データに基づく運動と睡眠の関係

運動と睡眠の関係は、長年にわたって広く研究されてきました。これまでは、適切な運動をすることで、睡眠に関連する問題が緩和され、十分な休息を得ることができると報告されています。また、最近の研究では、不十分な睡眠や質の悪い睡眠は、翌日の運動量の低下につながることが示唆されています。

これらの理由から、今日の専門家は、睡眠と運動には双方向の関係があると考えています。つまり、運動習慣を改善することで、より良い睡眠をとることができ、十分な睡眠をとることで、日中の運動量をより効率的にすることができると考えられます。

運動が睡眠に与える影響とは?

定期的に運動することは、がんや糖尿病などの病気のリスクを減らしたり、身体機能や生活の質の向上など、さまざまなメリットがあります。また、運動は特定のグループにも有効で、日常的に運動をしている妊娠中の女性は、体重が増えすぎたり、産後鬱になったりする可能性が低く、また、運動をしている高齢者は、転倒して怪我をするリスクが低いと言われています。

運動は多くの人の睡眠の質を改善します。具体的には、中程度から激しい運動は成人の場合、入眠時間(眠りにつくまでの時間)を短縮し、眠りの質を高めます。さらに、運動は日中の眠気を和らげる効果もあり、睡眠薬がないと寝付けない人の常用性を減らすことができることもわかっています。また、間接的にも睡眠を改善し、適度な運動は過度な体重増加のリスクを低減し、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の症状が出にくくなります。中等度から重度のOSAの約60%は、肥満が原因とされています。

成人の睡眠と運動の習慣については、数多くの調査が行われています。全米睡眠財団が2003年に55歳から84歳までの成人を対象に実施した「Sleep in America」という調査もその一つです。この調査の回答者のうち、約52%が週に3回以上、約24%が週に1回以下の頻度で運動をしていると回答しました。また、後者の回答者は、1日の睡眠時間が6時間未満で、睡眠の質がかなり悪い、または悪い、入眠や睡眠維持に苦労している、不眠症、OSA、レストレスレッグス症候群などの睡眠障害の診断を受けている、などの傾向がありました。

23歳から60歳までの成人を対象に、「運動と睡眠」に焦点を当てて調査した2013年の「Sleep in America」世論調査でも、同様の結果が得られました。軽い運動、中程度の運動、激しい運動をしている回答者の約76〜83%が、睡眠の質が非常に良い、またはかなり良いと回答しました。運動をしていない人では、この数字は56%にまで下がりました。

同様の研究や調査では、他の年代層の被験者に対する運動の効果にも注目しています。ある研究では、試験期間中の大学生を対象にしたところ、運動や活発な身体活動が試験に関連したストレスを軽減することがわかりました。また別の研究では、高齢者の睡眠と運動が「密接した関係にある」とも指摘しています。さらに、OSA患者が定期的に主に有酸素運動を行うことで、たとえ体重が減らなくても症状が軽減されることがわかりました。

運動に比べて、肉体労働従事者の仕事量を身体活動とすると、睡眠の問題を解決するのに十分ではありません。その理由の1つは、肉体労働の多くは、筋骨格系の痛みや不快感をもたらし、睡眠に悪影響を及ぼすことがあるからです。

 

寝る前の運動は有害?!

就寝前の時間帯の運動が睡眠の質を低下させるかどうかについては、長年にわたって白熱した議論が交わされてきました。慣習的な睡眠衛生額では、寝る前の3時間に激しい運動をすると、心拍数、体温、アドレナリンレベルが上昇するため、睡眠に悪影響を及ぼすとされています。その一方で、寝る前の運動は悪影響を及ぼさないという研究結果もあります。

ある調査によると、午後8時以降に運動をした人の大半は、眠りにつくのが早く深い眠りを経験し、十分な休息を感じて目覚めています。午後4時から8時の間に運動をした回答者も、これらの項目で近い割合を示しており、深夜の運動が実際に役立つ人もいることも示唆されています。

他の研究でも同様の結果が得られています。ある研究では、夜に運動をした被験者は、対照群に比べて徐波睡眠が多く、急速眼球運動睡眠の時間が長くなり、浅い睡眠が少なくなったと報告しています。しかし、集中的に運動した後に発生する体温の上昇は、睡眠効率の低下や入眠後の覚醒時間の増加と関連していることも指摘されています。このように、就寝前の運動は一概に有害とは言えませんが、寝る前の1時間に激しい運動をすると、睡眠効率や総睡眠時間に影響を与える可能性があります。

とはいえ、就寝前の1時間に運動をしない人が圧倒的に多いという調査結果もあります。前出の「Sleep in America」の2005年に実施した、18歳以上の成人を対象とした調査では、回答者のうち、毎晩、就寝前の1時間以内に運動をすると答えた人は4%、週に数回夜に運動をすると答えた人は7%、月に数回夜に寝る前に運動をすると答えた人は5%という結果が出ました。残りの回答者は、就寝前1時間の運動をほとんどしないか、全くしないか、または回答を拒否しました。

就寝前の運動は、自分の睡眠スタイルに合わせ時間や強度を選択するとよいでしょう。特にヨガ、軽いストレッチ、呼吸法などはよい睡眠を促す効果があると言われています。

 

睡眠が運動に与える影響は?

睡眠が身体に及ぼす役割については、これまであまり詳しく研究されておらず、多くの研究は、睡眠障害のある人と健康な人の身体活動の違いに焦点を当てています。

これらの研究の多くは、睡眠不足の人は健康な睡眠サイクルの人に比べて運動量が少ないと結論づけており、特にある特定の睡眠障害を持つ人は、日中の運動量が少ない傾向にあると言われています。不眠症の成人は、そうでない人に比べて運動量が少ない傾向にあり、OSAなどの睡眠呼吸障害のある人も同様ですが、このようなグループの人は、睡眠不足の原因として体重過多も要因の一つと考えられます。

いくつかの研究では、毎晩の睡眠の質、深さ、効率の変化を記録して、身体の活動レベルを予測できることが指摘されています。

これまでの多くの研究では、質の高い睡眠と健康的な身体活動レベルとの関係が示されている一方で、質の高い睡眠が身体活動レベルの向上につながることが明確には証明されていません。

ある研究では、OSAの第一選択薬である持続的陽圧(CPAP)療法を1〜6ヶ月間行ったところ、OSAの症状が緩和され、より良い睡眠が得られたにもかかわらず、身体活動レベルには顕著な効果が見られなかったと報告されています。また、CPAP両方と食生活の改善を組み合わせた場合では、食生活の見直しには成功したが、運動量の調整にはあまり意味がありませんでした。

ここでのポイントは、良質な睡眠をとることで、十分な休息を手に入れ、翌日の運動意欲を高めることができますが、健康的な睡眠だけでは、運動の仕方や頻度を自発的に変えることまではできないということです。

 

いかがでしたでしょうか?

睡眠と運動はお互いに影響し合っており、運動習慣を改善することは、睡眠の質の向上につながり、また、十分な睡眠をとることは、日中の運動量をより効果的に活用することができると言われています。皆様も普段の生活で思い当たる点がありましたら、ぜひ適度な運動を生活のルーティーンに取り入れてみてください。