事故や身体的・精神的苦痛から立ち直る、サウンドバスセラピー

交通事故で重傷を負ったどん底の中から、サウンドセラピストHIKOさんを救ったサウンドバス(音浴)とは?

HIKOさんに起こった衝撃的な事故、その身体的・精神的苦痛からどうやって立ち直ったのか。目まぐるしく変化する社会の中でストレスマネージメントの方法として欧米で注目されている「サウンドバス」によってどう復活したのか、その前編です。

歩くことも話すこともできない交通事故の後、激しい鬱に。それを救ったのがサウンドバスだった

小さい頃からピアノを習い、バンドにも参加したり…と音楽に親しんできたヒコさん。しかしパフォーマーとしてステージに立つことよりも、音楽が心に与える影響に興味があったと言います。2005年、結婚を機にNYに行くことになり、ニューヨーク大学の音楽療法の現場で、音楽によって人の脳や体、心が反応する瞬間を目の当たりにし、感動の涙を流す日々を送っていたヒコさんに突然悲劇が襲います。

2012年11月のある日、「自転車に乗って急な坂道をかなりのスピードで走っていたとき、突然開いた車のドアに思い切り突っ込んでしまったんです」。宙を飛んで地面に顔面から叩きつけられ生死をさまようほどの大事故。口を強く打ち、折れた歯で口の中は傷だらけになり、歩くことも話すこともできない状況の中、激しい鬱状態に陥ってしまったヒコさん。

「最初はただ自分を救うために様々なヒーリングセラピーを試していたのですが、その中で出会ったサウンドバスは、いつしか自分で演奏するようになり、サウンドセラピストとして活動できるまでになりました。自分の持っている音楽のタレント、経験や知識を活かせて毎日を送れていると思います。」

ヨガや音楽では食べていけない…と諦めかけていたところから一転、サウンドセラピストに

音楽が持つヒーリングの効果をもっと知りたくてニューヨークオープンセンターのSound and Music Institute へ入学したヒコさんは、そこで体系的に様々な角度からサウンドヒーリングについて学ぶことになります。すでにヨガインストラクターとしてマンハッタンやブルックリンのヨガスタジオで活動していたヒコさんですが、自分のクラスにサウンドバスの要素を取り入れ始めました。そのユニークなクラスはたちまち大人気になり、クラスは予約でいっぱいになっていきます。

日本にいた15年前は、ヨガや音楽では生活が成り立つとは思えず、ヨガを仕事にするという選択肢はまるでなかったそう。ところがニューヨークに渡ってから、考えが変わったと言います。「ニューヨークのいい意味での個人主義というか個人尊重の空気感が、やったって無理という否定ではなく、何を選択してもいいんだ!自分らしく生きればいいんだと肯定できるようになりました」。

独立して活動を始めたヒコさんは、プライベートレッスンを中心に世界的に有名なアーティスト、ミュージシャンやアクターなどセレブリティや沢山のニューヨーカーに人気のセッションを提供。マンハッタン、ブルックリンなどの人気ヨガスタジオでサウンドバスのイベント開催するほか、何千人もが集まるメディテーションイベントへの出演やNY MoMAで行われている朝の メディテーションイベントやロックフェスティバル、アートイベントなど活動の幅を広げていきます。

「ニューヨークではヨガはもちろんメディテーションやヒーリングはとても身近なもので、お金と時間をかける部分が日本とは少し違う気がします。そのためプライベートレッスンはとても人気があります。
ビックリするような有名な方から依頼を受けて、すごいお宅にセッションしに行くといった経験ができたことは、ニューヨークだからこそだと思っています。」

ニューヨークでは重視されている心のケア、リラクゼーションに対する考え方がまだまだ日本は遅れている、そう思ってニューヨークから日本へ

NYに14年間滞在し、今年2019年2月に帰国。「日本が嫌で渡米しましたが、海外で暮らしたからこそいろいろな体験もできたし、違う価値観を学べてラッキーでした。歳を重ねるにつれ自分を育ててくれた社会に恩返しがしたい、何かしたいという気持ちが強くなっていきましたね」。
多くの人がジムでトレーニングするのと同じようにメディテーションスタジオに通い、当然のようにヒーリングのためのアプリも活用しているN.Y.。豊かさの象徴が消費から体験へと移行する中、健康な精神と肉体を維持することはもはや必須になっています。
「帰国する1年前から、日本の企業の方々に、マインドフルネスやフィットネスのリサーチのためのコーディネーターをしていました。ようやく日本にも私の居場所があるかもしれないと思い帰国することを決心しました」。

日本に帰国したヒコさんのサウンドバスやメディテーションが生む心や生活への影響とは? 次回後編でお伝えします。

 

HIKO KONAMI

4歳からピアノを始め、それ以来瞑想と音楽はいつも人生の中心にある。2005年に渡米、NYルーシーモーゼス音楽学校で音楽を学び、ダルクローズ音楽教育と呼ばれる調律的運動メソッドを取り入れる。その後、Jai YOGA ArtsにてRYT200時間のティーチャートレーニング、YOGA216にて100時間のヨガ機能解剖学を学び、ブルックリン、マンハッタンのスタジオにて指導独立、個人指導をメインに活動。ニューヨークオープンセンターにて『Sound and Music Institute』修了。音楽理論、音楽療法、民族音楽学、シャーマニズムや音の振動が身体に及ぼす影響など科学的なアプローチなど、様々な観点からサウンドセラピーについて学ぶ。サウンドセラピスト、ヨガインストラクターとしてNYで10年以上の活動の後、2019年2月より日本に活動拠点を移す。

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